VOICE vol.84
中島 和久
Kazuhisa Nakajima
写初めての個展「KIZASHI」(2014年7月22日〜27日)を開催してみていかがでしたか?
面白かったですね。観てもらったすぐその場で生の声がきけて良かったです。展示のプリントはプリンターの人にお願いしたので展示の準備自体はそれほどではなかったんですが、同時に写真集を作ったので1年前くらいからいろいろと大変でした。
写真集では女性と虫の見開きページが特に印象的でした。
自分が撮りたいものが女性と日常なので、特別どこかに旅をして撮るという事ではなくて、いつもの生活の中で身近なものを撮っていったらこういう形になりました。虫の写真がいくつかあったのは、もともと虫が好きですし、家の中や庭に虫がよくいて自分にとって身近な対象なのです。今回のレイアウトと並びは自分と編集の人で決めましたが、感覚的に並びを決めていったら結果として女性と虫の見開きの写真になったという感じです。
女性を撮る時になにか心がけていることはありますか?
本当は身近な女性で撮れるといいのですが、難しいのでモデルさんにお願いして撮っています。モデルさんだとその人の生活圏には入れないので日常を撮る事はできませんが、そこは割り切ってこだわらずに撮ることにしています。ただあくまでモデルさんとしてではなく「一人の出会った女性」というつもりで、いわゆるモデル写真っぽくならないよう心がけて撮影しています。
同タイトルの写真集も同時出版
どのようなきっかけで中村教室に通うことになったのですか?
2年前の説明会に参加したのがきっかけです。特に写真が身近にある環境ではなかったのでなぜその時写真だったのかはよくわからないのですが、たぶん形に残るようなものを作りたかったのだと思います。説明会に参加した翌日にはもうニコンF2というカメラを買っていて、絞りもシャッタースピードもピントさえもよくわからず通い始めました。そんな感じで、全く新しいことを一から始めるのは面白かったです。
銀塩で撮影していますが、現像方法やプリントをいろいろと試しているみたいですね。
自宅暗室がないのでプリントは教室の暗室でやっていて、フィルム現像方法やプリント方法などをいろいろと試しています。例えばロジナールという強アルカリの現像液を使う方法や、撹拌をせず2時間くらい室温で放置する方法など。今はトライXをISO200で撮影、D76を1+3で希釈して24℃で16分30秒で現像しています。撹拌方法もいろいろなやり方があるので変えてみたりしています。
銀塩の魅力って何だと思いますか?
例えばモノクロで弱い光ってどのくらいまで写るんだろうって試したことがありますが、撮影方法を含めて銀塩にはまだまだいろいろなやり方があると思います。もっとよくなる方法があるだろう、と。そう思ってある程度までやったらひっくり返してまた違うやり方をやったりして、いろいろな方法を試しています。 あれこれやるのが好きなのです。もともと機械を分解したりするのは好きですし、何か実験的なことをやりたいのです。
好きな作家さんって誰かいますか?
自分は人物を撮っている方が好きなので、メイプルソープ、ウィン・バロック、日本人だと魚返一真さんと有元伸也さんです。写真集や展示を観て学んでいくうちに面白いなと思うようになりました。
写真を始めてまだ2年ということですが、ゼミの授業はどうですか?
長く続けている先輩方の写真を間近で観る事ができるのが良いですね。中村先生の話もこれまでと違って写真の本質的な話がきけますし。毎回15枚程の作品を出しています。
これからどのようにしようと考えていますか?
最初の目標、何か形にするということはできたので、ここを通過点にして年に1回くらいは発表を続けていきたいです。そしてそれを続けて作品が溜まったらまた写真集を作りたいです。 そのためには日常の中での撮る選択肢を広げて、もっといろいろなものを撮っていきたいと思っています。
聞き手:増馬