VOICE vol.94
阪根 浩平
Kohei Sakane
『生き継ぎの旅』阪根 浩平
新宿ニコンサロン
2022年1月25日(火)~2022年2月7日(月)
ニコンサロンでの展示はいかがでしたか?
展示については何もかも初めてのことで、とにかく無我夢中で取り組みました。準備の過程も本当に勉強になりましたし、全て出し切ったという充実感があります。また展示中には会場で色々な方とお話をしたのですが、ある写真家の方から「人間の面倒臭さが表現されていますね」ということを言われ、あらためて自分自身では気づかないようなことを発見できて良かったです。
展示作品『生き継ぎの旅』について
撮影期間としては約5年で、それを旅と見立てて58点にまとめて展示しました。基本的にテーマありきでやってきたわけではなく自由に撮りたいものを撮ってきたので、それが自分にとってどのような意味を持つのかを考えるとても良い機会になりました。
ヤングポートフォリオ展 ’23
2024年3月16日(土)~2024年5月26日(日)
清里フォトアートミュージアム
*ヤングポートフォリオ展とは?
K・MoPAが開館以来毎年開催している、世界の35歳までの青年の作品を公募・購入・展示する文化活動。 23年度は世界36カ国、335人、6,973点の応募作品から厳選された、22人による101点を展示。
阪根さんは23年度のヤングポートフォリオでも選出されましたが、そちらはいかがでしたか?
ヤングポートフォリオは選考の段階では略歴、ステートメントを見ない珍しいコンペなので、まずは純粋に写真だけで評価してもらえたのが嬉しかったです。他に選ばれた方の作品も、海外の方、プロの方と偏りの少ない様々な作品に触れることができてとても勉強になりました。
うんうん。今年度は特にレベルも高く全体的に良かったですよね。ちなみにヤングポートフォリオに応募したのはなぜ?
昨年度にOGの卯月さんが選出されたのが良いきっかけになって、年齢的にも最後ですし自分も挑戦してみようと思いました。ギリギリ間に合って良かったです(笑)この時の応募はニコンでの展示作品をベースに撮り下ろしも加えているので大体7年分ですかね。ニコンでも「生き物の写真が良いね」と言われたのですが、今回も生き物を中心に選んでもらって審査員の方もそう感じてもらえたようで嬉しいです。
ヤングポートフォリオはすごく時間をかけてしっかり見てくれている感じがしますよね。
ところで阪根さんはなぜ写真を始めたんですか?
大学で自然生態学を専攻していたので、屋外調査で写真を撮り始めたのがきっかけですかね。研究室で蝶の環境調査をしていたのですが、この時は本当に記録のための撮影なので今のような写真とは全く違っていました。
どちらかというと記録のための写真ですね。
はい。その後、社会人になってから仕事の他に熱中できることを探していたら、そういえば学生時代に使っていたニコンのデジカメもあるし写真はどうだろう、と。それでどうせやるなら基礎からきちんと勉強してみよう、ということで社会人でも通いやすい中村教室に辿り着きました。これに関してはほぼ直感ですね(笑)
縁があったんだ(笑)ちなみに普段はどんなカメラで撮影していますか?
大学時代から使っているニコンのD5000というデジタル一眼とGR3です。あまり機材にこだわりがある方ではないので、新しく用意するというよりは持っているカメラで何かできないかな、というところからスタートしているので。瞬間的にパッと撮れることや、生き物の表情やタイミングを逃さないカメラであれば十分です。
ふむふむ。とても健全です(笑)それでは最後に今後について。
ずっとモノクロ一辺倒だったので、最近はデジタルプリントの授業を受けカラープリントにも挑戦しています。正直カラーで表現するという感覚が掴めていないのでまだまだ勉強中という感じですが、カラー写真のことも知らないままにしておきたくないのでまずは一通り経験してみたいなと。その結果、やっぱりモノクロ写真に落ち着きました、でも良いのかなと思ったりしています。
最近は写真集作りにも興味が出てきたそう。今後の力作を期待しています。
聞き手:小宮山