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VOICE vol.83

​野崎 志乃

Shino Nozaki

今回の作品はどこで撮った写真ですか

 

中国雲南省にある梅里雪山の写真です。梅里雪山はチベット仏教の聖山で、高さが6740mあるんです。梅里雪山の登頂を目指した日中合同の登山隊17名が遭難により命を落としています。以前見たドキュメンタリーの中で登山家であり写真家でもある方が、その場所に通い、彼らの遺体を捜索されている事を知って、自分の役割・自分の使命をみつけて生きる姿に感銘し、それ以来いつか梅里雪山に行ってみたいと思うようになりました。今回、ご本人の案内で梅里雪山に行く旅の計画があったので参加しました。

私の他には15名ほどで、馬に乗って移動したり、トイレは大自然の中だったり、宿泊場所の電気やシャワーも不安定と、なかなかハードな11日間のトレッキングでしたが、私に大きな影響を与えてくれたこの場所に行けた事は、私の一生ものの思い出になりました。

 

旅先で写真を撮ることが多いですか

 

そうですね。日々の生活の中でというよりはどこかに行って撮ることが多いですね。もともと旅行は好きでよく行ってたんですけど、教室に通い始めてから行き先が「観光地→お土産屋」のルートから、「路地から路地へ」と歩き回るようになって、旅の目的がすっかり写真になりましたね。

 

中村教室へ通おうと思ったきっかけはありますか

 

写真に関わる仕事を担当してた時に写真やカメラに興味を持って、自分でも見よう見まねでやっていたんですが、きちんと基礎から学びたいと思ったんです。それで探したら中村教室をみつけて、ぱっと見で「あ、ここだっ」って思って、一発直感というんですか、決めました。

けど、今思えばその頃、何かを変えたいって思っていたのかもしれません。毎日の生活の中でこのままでいいのかなーと漠然と思っていて。きっと写真がきっかけだったんでしょうね。

 

通ってみてどうでしたか

 

あ、白黒なんだって…。ほら、説明会参加しなかったから…。フィルムで撮っていたし、やりたかったからそれは良かったんだけど、写真の勉強ってやったことがなかったから4回目の授業の「谷根千」で何を撮っていいのかまるでわからなくて。その後の批評のときにみんなの写真を見て「こういう感じで撮ればいいのか」ってやっとわかったくらいでした。それまで自分が撮っていたポストカード的な写真と、最初の批評の時のみんなの写真が全く違っていたので余計に面白いと思ったんです。そして写真家の撮っている写真の良さとかもわからなかったのですが、経験していくにつれてだんだんと見られるようになってきてまた面白いなって思って。

興味を持つものも、見て面白いと感じるものも、教室に通う前の自分と通ってからの自分ではすごく変わりましたね。自分の中の価値観なのか感覚なのかが、ものすごく変わったと思います。

 

デジタルを始めたのはいつからですか

 

デジタルプリントの授業受けてからだから2年前からですね。フィルム現像がイヤで、時間はかかるし休みの日にやらなきゃと思うとそれだけで気が重くて。写真撮ってもこれを撮ったら現像しなきゃいけないと思うと、写真を撮らなくなってしまって、このままじゃダメだと思ったんです。

デジタルにするとその気の重い現像作業がないので、だったら変えてみようと。もし変えてみてデジタルが自分に合わなかったらその時はまたフィルムへ戻ればいいんだし、そんなに無理にフィルムにこだわらなくてもいいんだと思って、デジタルプリントの授業を機会に変えたんです。

 

デジタルに変えてどうでしたか

 

ほんとに良かったですね。デジタルに変えたらどっかに行ってもっとたくさん撮りたいって思えるようになりました。カメラは今リコーのGRなんですけど軽くてフットワークよく撮影できるから、それも私には合ってましたね。

今は写真を撮るために時間をつくって出かけることも、撮ることも、プリントすることもすごく楽しいです。

 

カラーはやらないのですか

 

もう最初から頭の中でモノクロ写真にするって思っているからなのか、撮ってるときにあんまり色を意識してないですし。それにやっぱりカラーの方がみなきゃいけないところが多すぎるので、情報がたくさんあると今はまだ処理できなくなるんです。ただでさえデジタルっていろんなことが出来過ぎちゃうので、やっていると、どこまでやっていいのか程度がわからなくなってしまうから。まずはモノクロをしっかりやろうかと。今はまだモノクロでグレーのトーンをきれいに出すのが難しくて、授業で試しながらちょっとずつやっている最中なんです。やっぱり一度にいろんなことはできないので、まずはできることを増やしていって、それでもしカラーをやりたくなったらその時でいいのかなーと思ってます。

 

今後はどうしようと思っていますか

 

まずは何か、本当に自分が何を撮りたいのか、テーマというのか、そういう自分がみえてくることですね。そしてそれが見つかったら長く続けていくこと。写真は年齢に関係なく長く続けられるものだと思うし、その時その時の自分が客観的に写真によって振り返れたりするものだから。

その延長線上でというか、そうなった時に自分の写真を見てもらえる人ができたら嬉しいかなって感じです。

聞き手:増馬

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